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From: Maki Sano
Sent: 2004/04/18
To: Everyone  
Subject: 「人として」当たり前のこと

【毎度BCCで失礼いたします。このところ頻度が高くてごめんなさい】

土曜日のNYは、暖かく、そよ風も吹いて、とても良いお天気でした。
私は(強い日射しが手術後の目にしみるため)似合わないサングラスをかけ、
家人といっしょにセントラルパークへお花見に出かけることにしました。
びっくりするほどたくさんの人々が、トドの群れのように寝転がって
日光浴を楽しんでいました。

セントラルパークにはそんなに多くの桜の木があるわけではないのですが、
たまたま立派な枝振りの一本が目につき、その下が空いていたので、
私たちはそこに布を敷いて落ち着き、お弁当を食べていました。
周囲には、幼稚園〜小学校低学年くらいの小さな子供を連れた
若い白人のパパ・ママが大勢寝そべって日光浴をしていました。

しばらくして、駆けまわって遊んでいた子供たちのなかで一番年長っぽい感じの
女の子が、薄ピンクの可憐な花をいっぱいに付けた桜の枝に手を伸ばし、
ぎゅーっと引っ張ったかと思うとボキッとそれを折り取りました。
げげ、と思っている間に、年少の子供たちが真似をして次々に枝を折り始めました。
エコロジストとしては黙っていられない。私は彼らに「やめなさい」と言いました。
(本当は「お前たちの腕も同じように折ってやろうか?ええ?」と腕のひとつも
つかんでやりたいのだけど、そんなことするとたちまち訴えられるし‥‥ ^^;)
私は、近くで微笑みながら子供らを見守っていた、彼らの親とおぼしき
グループにも、「あんなことをさせてはいけない」と言いました。
ところが、どうも親たちには何がいけないのかがよく分からないらしく、
こちらを見たまま口をボカンと開けて固まってしまいました。
「彼らは木を傷付けている」と言うと、やっと理解したらしく、
ややあってから腰を上げ、子供たちのところへ注意しに行きました。
隣りのグループの親も何か言わねばと思ったか、「いい?みんな、
お花さんとお友達になろうねえ」と優しく子供たちに話しかけました。
(あ、そういうふうに言うのか〜、と、ちょっと自分の大人気なさを反省する私)

「一体どういうシツケをしてるのかな〜」と家人にぼやくと、
「シツケする親の側もシツケられてないんだよ。だからいつまでも戦争やってる」
というような答えが返ってきました。やっぱりそうなのかなあ。

帰宅後、別の公園へ花見に行ってきたという友人からメールをもらいました。
それによると「こちらの公園では、大人が枝を折るのをたくさん見ました。
大人が折って子供に渡していました」とのこと。なんとまあ。
これまでこんなことを深く考えたことはありませんが、もしかすると
アメリカ人にとって、自然の木から花の付いた枝を折るという行為は、
後ろめたくも何ともない、ごくフツーのことだったりして?
‥‥とまで考えてしまいました。

私としては、こんなこと、良いか悪いかを考えるまでもなく、
人として当たり前の「常識」の範疇だと思っていたのですが。

前フリが長くなっちゃいましたが、お世話になったら「ありがとう」、
悪いことをしたら「ごめんなさい」、知人と会ったら「こんにちは」‥‥
そういう、人として当たり前のことができない方が、ここにもいるようで。

小泉純一郎さん。朝日新聞によると、先のイラク人質事件で日本の民間人救出に
骨を折ってくれたイスラムの宗教委員会とスンニ派の指導者クベイシ師に対し、
日本政府は16日時点でまだ謝意を伝えていなかったとのこと。インタビューでも
首相は人質となった高遠さんらを責める言葉は用意していても、いちばんお世話に
なったアラブの恩人である同委員会については言及しなかった。これは「恩義」を
重んじるアラブ社会につばする行為。クベイシ師も不満をもらしたそうです。

その後(おそらく師の不満インタビューを受けて)あわてて外相や大使が
謝意声明を出したようですが、もう手遅れ。人格ならぬ「国」格がバレバレです。

実は、かくいう私も、9日付けメールでお知らせした「人質解放を求める声明」を
犯人グループに転送してくれるようアルジャジーラに頼んだりしていたのに、
網膜手術のことでいっぱいいっぱいになってしまって、早くお礼を書かなきゃ〜と
気になりつつも、英文を書くのが苦手なこともあって、送りそこねていました。
本日アルジャジーラ宛てに出したメールを、最後に添付しておきますね。
下手くそですが、私なりに「人として」書かないわけにはいかないメールでした。

Dear Al-Jazeera,
I am one of the Japanese citizens who recently sent you email messages
regarding rescuing the Japanese hostages. This time I am writing to let you
know how thankful I am for your extraordinary effort to rescue those 5 (3
first, then 2) hostages. You did far more than what just a news station
could do. I don't know whether our government officially expressed their
appreciation to you or not, but on behalf of many ordinary Japanese
citizens, I would like to thank you from the bottom of my heart. I also like
to extend my deep appreciation to the Association of Muslim Scholars and Mr
Abdul Salam al-Kubaisi. I tried to thank them directly, but I couldn't find
their contact through my internet research. So I would appreciate it if you
forward this message to them.
I hope - not because the hostage-takers requested, but from my own
conviction - that all military troops from all countries including Japanese
self-defense force withdraw from Iraq very soon and let Iraqi people decide
how to rebuild their country (and of course the UN should support that
rebuilding as much as possible).
Thank you again. May peace be upon Iraqi, Palestinians, and people all over
the world....!

【荒訳】
アルジャジーラさま。邦人人質の救出について先日メールさせていただいた日本人
の一人です。今回は、5人の人質(最初に3人、続いて2人)救出に際しての、
あなた方の並々ならぬ尽力にお礼を申し上げたくて書いています。あなた方は
一ニュース局をはるかに超えた仕事をしてくれました。うちの政府があなた方に
公式に謝意を表したかどうか存じませんが、多くの普通の日本市民に代わって
心の底からお礼を申し上げます。また、イスラム宗教者委員会とアブドル・サラム
・アル-クバイシ師にも深く感謝したいと思います。直接お礼を言いたかったの
ですが、インターネットでサーチしても彼らの連絡先が分かりませんでしたので、
このメッセージを彼らに転送していただけると嬉しいです。
私は−人質を取った人々が要求したからではなく、私自身の信念に基づいて−
自衛隊を含むすべての各国軍がイラクから速やかに撤退し、イラク人自身が
祖国再建の決定権を持つことを願っています。そしてもちろんその再建を国連が
全力で支援するべきだと思っています。
重ねて、ありがとうございます。イラク人に、パレスチナ人に、世界中の人に
平和がもたらされますように‥‥!

Peace.
Always,
Maki

   
   
 
   
   
   
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Maki Sano プロフィール:
自然と平和を愛するコピーライター。エスペランティスト。ニューヨーク在住。
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