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【毎度BCCで失礼いたします】
こんにちは!早いもので11月ももう半ば。
先日はニューヨーク市唯一の原生林が残るインウッドヒル・パークへ
紅葉狩りに行ってきました。いやー、癒されました。
さて、私事で恐縮ですが(って、いつも私事ですが _ _;)
今日はうれしいお知らせです。
環境ジャーナリスト枝廣淳子さんの監督のもと、
数ヶ月前からチームで翻訳を進めてきた本が、
ついに出版されたのです!
「カサンドラのジレンマ―地球の危機、希望の歌―」
アラン・アトキソン著 枝廣淳子監訳 PHP研究所 ISBN:4569632149
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569632149/qid%3D1069266990/249-4070600-4963510
(原作は1999年度アマゾン・ドット・コム
「環境プランニング&管理」部門ベストセラー)
私自身はまだ本になった状態を見ていませんが、
日本の方はそろそろ本屋で目にしていただける頃だと思います。
上記のアマゾン・ショップからもご購入いただけます。
自分が関わったから言うわけではないですが(それもありますが ^^;)、
これは面白い本ですよ〜!なんと言っても著者、アラン・アトキソンさんが面白い。
今は「持続可能性コンサルタント」として世界中を飛び回っているアランさん、
経歴を拝見すると、ある時はマレーシアでヘロイン中毒患者のセラピスト、
またある時はマンハッタンで引っ越し屋の手伝い兼シンガーソングライター、
かと思えば環境雑誌の編集者として上院議員時代のアル・ゴアに独占インタビュー、
さらには、後に世界各地に広がることになった持続可能性の指標作成プロジェクト
「サステナブル・シアトル」の火付け役……と、まさに八面六臂のご活躍。
「世界がもし100人の村だったら」の原案者で惜しくも2年前に亡くなった
ドネラ・メドウズさんの秘蔵っ子でもあるそうです。
「アラン・アトキソン?ずいぶん前に聞いたことがあるような……」
と思われる方は、かなり記憶力がよろしいですね。そう、去年の暮れ、
クリスマスのご挨拶代わりにメールでご紹介した「サンタへ」という短いエッセイ、
あれを書いた人がアランさんです。「サンタへ」は、地球温暖化を食い止めたい
という切なる願いを、サンタクロースへのお願いレターのかたちで表現した
異色のエッセイでしたが、私は、あの文の和訳をお手伝いしたときから、
こう確信していました。「この人は、『何を書くか』はもちろん、
『いかに書くか』にも果敢に挑戦する、新しいタイプの環境ライターだ!」
アランさんは今回も、ギリシャ神話のカサンドラ(トロイ王国の滅亡を予言したが
誰にも信じてもらえず、国が滅びてゆくのを見守るしかなかった悲劇の王女)を、
現代の地球の危機的状況を訴えようとする人々になぞらえる、という実験を試みて
います。そして、漠としてつかみどころのない環境・文化・社会問題の根源を、
目からウロコの「システム・ダイナミクス理論」ですっきりと解説してくれています。
思えば私は、幼いころテレビに吸い込まれるようにして見た
故カール・セーガン博士の宇宙科学番組「コスモス」あたりからずーっと、
自然科学の世界とお茶の間をつなぐことの重要性について(漠然と、ではありますが)
感じ続けてきました。といっても、子供のころから問題意識を持っていたわけでは
全然なく、そういうことをはっきり意識するようになったのは、大人になって、
社会に出て、人にものを伝える仕事につき、温暖化をはじめとする環境問題に
興味を抱くようになってようやく、のことです。
科学や環境は、毎日の生活や将来の世代に関わる重要なテーマであると同時に、
この上なく面白い情報がいっぱい詰まった宝の箱です。けれどその一方で、
専門性が極めて高く、特に私のようなまるっきり文系の人間にとっては、
叩いても決して開かない厚いドアの向こうの世界のように感じられることも
あります。(私はこれを「悲しき片想い」と呼んでいます…… ^^;)
そこで、豊富な科学知識を持ちながら私たちと同じ言葉で語ることのできる、
セーガン博士のような優れた水先案内人が必要なのです。
アランさんも、40代前半という若さにして驚くほど豊富な知識と経験を持つ
環境問題のエキスパートですが、彼は、私たちと同じ言葉を語れるだけでなく、
私たちを安心させ、勇気づけ、やる気にさせる術も持ち合わせています。
それは、彼に心理学の背景があることや、彼がアーティストであることとも
関係しているのでしょうが、私は、彼が文中で裸になって、自らの矛盾や弱さ
も含め、すべてをさらけ出してくれていることが大きいような気がします。
アル・ゴアへの期待と失望、友人や同僚との意見の食い違い、
大好きなハイテク生活vs持続可能性、アートと仕事の両立……
彼は私たちと同じ時代を生き、悩み、愛し、希望の歌を歌う、等身大の現代人
なのです。(翻訳中に何度も質問メールを送っては返事をせっつく私に、
「ごめんごめん、週末は僕が子供の面倒をみることになっててね。週明けまで
待ってくれる?」と良きパパぶりをかいま見せてくれたこともありましたっけ)
さて、この本の(私にとっての)クライマックスは、「イノベーション普及ゲーム」
と題された第9章です。ここでは、今の世界を変えたいと願う人々に対し、
いかにしてそれを実現するかを分かりやすく説いています。といっても、
「ゴミを分別しましょう」とか「エコマーク商品を買いましょう」などという
行動案が並んでいるのではなく、もっと根源的で、ある意味非常に実践的なこと=
「イノベーション(新しい概念や技術や習慣)はいかにして社会に浸透するか?」
が書かれているのです。さらに、「変革が起きるときの方程式」「受け入れられる
変革の条件」「普及効率の上げ方」などなど、環境運動家にとって把握していると
いないではかなり違いが出そうな情報の数々が、惜しげもなく紹介されています。
イノベーションというものは、何年も、時には何十年もかかって達成されることが
多いので、その長い年月を、あせらず、へこまず、怒らず、志を高く保ったまま
歩き通すためにも、こういう「骨格」のような理念は欠かせないものだと思います。
この第9章は、環境問題だけでなく、いろいろな面で身につまされるものでした。
とりわけ、先日(11/1付け)の反戦運動についてのメールに書いたような、
「どうしたら反戦の気運をアメリカ全土に呼び起こせるのだろう?」とか、
「一つの方向に向かいながらも皆が自分らしさを保つには?」といったことを
考える手掛かりとして、非常にありがたい内容でした。
また、「素晴らしいアイデアだ」と言ってくれる人がたくさんいる割に
なぜかちっとも普及が進まない国際共通語エスペラントのユーザーとしても、
「いやはや、痛いところをつかれたな〜 ^^;)」という想いとともに、今後の
普及活動(ってなことをするほど真面目なエスペランチストではないのですが)
へのヒントをもらった気がします。
おそらく、「世の中に広めたい何か」(それが反戦ムーブメントあろうと、新技術
であろうと、政治思想や宗教であろうと、はたまた新開発の商品であろうと)
を持っている人なら誰でも、この本からヒントをもらうことができると思います。
そして、別に広めたいものがなくても、「今の世の中、なんかおかしくない?」と
ほんのちょっとでも思う人にも、読んでいただきたい。きっとモヤモヤが晴れます。
Peace.
Always,
Maki
PS
今宵はテンペル・タットル彗星群が見られるはずだったのですが、
厚い雲に閉ざされてダメでした。また来年のお楽しみ、ですね。
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